■books
新書版をきちんと新刊で持っていたというのにうっかり文庫版まで購入してしまった私。でもねぇ、400枚加筆と言われたらさすがにそりゃ大きく違っているだろうから、買わざるをえなかったです。主にその加筆はフロイトとかの精神分析部分の説明に費やされていたように思いますが。しかし、大きいですね。その部分があるのとないのだと、だいぶ印象は違うかなという気がします。
いちばん仰天したのは降旗の夢ですね。なにー?!子供の頃は夢だと思っていなかっただと?!聞いてねーぞそんなん!!という衝撃がありました(笑)。重大な加筆部分はこの降旗の夢の解釈…とゆーか、それが降旗に与えた心理的な説明と、それから民江の心理の解説ですね。民江の障害が彼女の心理…とゆーか逃避…とゆーか…なんてゆーんですか?(笑) 無意識下の脳の働きに与えた影響の説明が大きく付け加えられてましたね。どちらにしても私は深く考えずに納得していた部分なので、別になくてもかまわなかったですが…心理学的な説明が多かったことを思うと、そういう意味合いで納得できなかった人が多かった…ということなのかな。そーかもしれないですね。
私は「魍魎」が最愛…なのかな?とりあえず京極のファーストインパクトとなると、「魍魎」をあげてしまうと思いますし、それに比べると、「狂骨」は小粒な印象はありますね。構造自体が間抜けだというのは京極堂が言っているとおりですし(笑)。それに、あの鴨田周三さんが出てきちゃったのが神秘の印象を失ってしまった感じがしますね。彼が出てきても、「魍魎」の美馬坂ばりに人格的に力を持っている人ならよかったけど、彼、残念ながら俗物だったので、鷺宮一族というのが一気に俗物化してしまった気がします。「汚れた神主」たちの底知れなさは活きててよかったんですが。
うーん、下手すると、お父さん助けるために頑張っちゃった佐田申義さんのほうが、鴨田さんよりも深く見えるぐらいかも。それぐらい鴨田周三さんの存在が鷺宮一統の神秘を抹消しちゃった気がします。や、別に佐田さんがそんなスゴイ人に見えてたわけじゃないんですが、その場にいるのといないのではそれぐらい印象に差があるってことでしょうね。鴨田さん、出さなくちゃいけないかなぁ?あの話。出さないと話の収拾がつかないってほどのこともないと思うのですが。
あぁ、そっか。多分、文覺長者を持ち上げるために出てきたのかもしれないですね、鴨田さんって。即身成仏まで遂げる人ですから、存在自体が力を持ってないといけないですものね。鴨田さんを俗化することで、それに対する即身成仏まで遂げるスゴイ人ってことになるはずだったのかな?文覺長者は。でも、残念ながら、そこまでの印象がないんですけど、彼(爆)。んー…私的には多分あの下らない鷺宮一統にくっついていた人だからってことで、一緒に俗化しちゃってますよね…。うーん。
むしろ印象としては、ずっとずっと歩いていく「汚れた神人」達のほうが強いです。神秘的で少し怖い感じで。そういう底知れなさみたいなのが京極の話ではすごく魅力的な部分なので、本当鷺宮一統は残念だなと。
なんかあんまり誉めなかったですが、比較が他の京極の話だからそうなるだけであって、私が読んでいる本全体のなかではすごく好きな本です。確実に10回以上再読してますし。って、京極の本はどれもそれぐらい再読してるわけですが。中毒ですね、ほとんど(笑)。
2000.11.14