境界






いつからか、境界線ができている。


キスは、額だけ。
夜は、一緒に寝ない。
膝に抱き上げてくれることも少なくなった。

そのくせ、いつもそばにいてくれる。



僕が気がつかないと思ってるのかな。
子供だから、分からないと思ってるのかな。
でも僕は、ジタンが思ってるほど子供でもなければ、何も分からないわけじゃないんだよ?

いつだったか、フライヤが
「ジタンには『ちいさい』ビビが必要なのかもしれぬな」
と、僕に言ったことがある。
あの時はよく分からなかったけど、今は分かる。

小さくて、何も分からなくて、そんなこと考えもしない、まっさらな生き物。

そんなものが、ジタンの思う僕だ。
だから、この境界線を引いたんだ。自分の手で、なくさないように。


でも僕はそんな綺麗なものじゃない。



額に触れる唇の熱さ、たまに抱き上げてくれる腕の暖かさ。
おやすみなさい、とベッドに入る時の一瞬のため息。
その奥にあるもの。
自分で引いた境界線への、苛立ちと衝動。

それでも、ジタンはこの境界線を越えられない。







それなら、僕のほうから越えてみようかな。
ジタンの引いた、ギリギリの境界。
この境界のせいで、ジタンが遠くなるなら、

こんな境界、僕にはちっともありがたくなんかない。






ジタンが僕を見つけて、そばに来てくれる。
その腕を取って、背伸びして、ふわりと唇にキスしたら。

どんな顔をするのかな。














p.s.

ビビさん1人語り。
私の書く文字物は、やはり小説というよりは
『プロット』という方がいいと思います(笑)。
漫画を描く前段階の覚書、のような(苦笑)。
ということでこれもそんな感じで(うわ、駄目っぽい)。

少し黒いビビさん(笑)。
見た目9才ということですが、ひょっとしたら見た目よりは
大人びてたりしてないかしら、と。
そしたらジタンの子ども扱いがちょっと不満だったりしてー…と(笑)。

…あんないい子つかまえてこの扱いですいません…(汗)。

こっそり、我慢のジタンさんは、想像すると萌えますね(笑)。

2003.5.20