ひどいことをしている、と思う。
「あ、…んっ。…ジタ…ぁ」
縋るように、細い腕が伸ばされる。その腕をとって背中に回させた。ぎゅ、としがみついてくる。
「…ビビ」
「やぁ…っん! ジタン…っ!いやぁ…ぁ、いや…あっ」
膝に乗せ、深く貫いたからだを小さく揺すると、細い悲鳴が上がった。
顔を覗き込んだら、ふるふると首を振る。片手で背中を支えたまま、空いた手で頬に触れると閉じた瞳からぽろぽろと涙が落ちた。
ひどいことをしている。小さなこの子には、泣いて欲しくなんかないのに。なのに。
止まらない涙を唇で吸い取り、そおっと抱きしめた。小刻みに震えている小さな体、細い腕。綺麗に切りそろえられている爪が背中に痕をつけるのを感じた。
「…辛い…よな」
「ぁ……ううん…」
だいじょうぶ。
そう言って、綺麗に笑む。平気なわけはないのに、それでも先を強請るように回した腕に力を込めて。
「ジタン、…好き」
囁かれた声に、どくん、と心臓が鳴る。ビビに埋め込んだそれが体積を増したのが分かった。
「ごめん…!」
「え…?あ、あぁんっ、やぁ…っ!」
どさり、と膝に抱き上げていた体をベッドへ押し倒し、深く突き上げる。その度に上がる声は痛々しく、それでもどこか甘い。
「ジタンっ…!ジタ…ぁン、あ…んっ!」
泣きながら、名前を紡ぐ。閉じることなく喘ぐ唇に宥めるように口付けるとぼんやりと潤んだ金色の瞳が瞬いた。
伸ばされる、細い腕。
首に回されて、引き寄せられて。
深く、強く抱きしめたら安心したような吐息が漏れた。
ごめん。ごめんごめんごめん。
ひどいことをしていると分かっている。小さな体に、途方もない無理をさせている。こんなこと、ビビは望んではいないだろう。この子が欲しいのは、暖かく安らげる腕だ。分かっているのに。
それでも、伸ばされる腕に。
呼ばれる名前に。
繋がった瞬間の、甘く揺れる瞳に。
許されているような気がして。
「…あいしてる、よ」
言い訳のように、それでも切実に告げて、なるべく負担がかからないようにゆっくりと動き出す。
再び聞こえ出した嬌声と縋りつく腕が、本当に許してくれていることを祈りながら。
大切な大切な、ビビのからだに溺れていった。