■浦賀和弘さん作品
ずいぶん前に相方に借りて読んだんですけど、今回文庫化していて。その解説を読んでみたら面白そうに思えたので、なんとなく再読。前に思ったことと同じことを思いました(笑)。面白いんだけど、キツイ感じがするんですね。内容じゃなくて多分文章とか主人公の青春真っ盛りの思考とかそういう部分なんですけど(なんか懐かしい感じもするし/爆)。読んでいてなんとなく心地よくないわけです。「心地よいもの」をあえて求めてるわけじゃないし、心地よいものしか読みたくないってのもずいぶんな話だし、要はおもしろければいいのではないかとも思うんですが、なにせ感情なので「心地よくないなぁ」と思ってしまうのはどうしようもない。でも面白いので止まらない(笑)。なかなかにアンビバレンツな気分のまま読了。これまた初読のときと同じ(笑)。
でも、心地よくないといいながら二回とも最後まで読みきっているということは、やっぱり面白いんだろうなぁ…。多分こんどは2作目も読むと思います。そもそも再読のきっかけになった文庫の解説は「全作読んで本当の面白さがわかる」みたいな内容だったしそれで読んでみようと思ったんだし…。そうそう。友人金田くん。この人京極夏彦の榎木津に似てるってどこかで書いてあったけど、そうかなぁ?!私は絶対京極堂だと思います。京極堂と同じ役割を担いつつ(主人公の価値観を屁理屈で破壊しまくってるし)、塗仏で出てきたけど「その言葉は怖いけど、中禅寺は多分人間的には優しい男」っていう部分が京極堂と違うから…要は人間的にあんまり出来た男じゃないから金田くんはああなるんじゃないですか?(笑)あ、ひどいこと書いてますか?彼、苦手だったんです…(笑)。
(2001.8.30)
私は浦賀作品は前作「記憶の果て」の文庫の解説をきっかけに再び読み始めているので、この話が「記憶の果て」の裏バージョンであり、このシリーズがミステリらしからぬ異常に壮大な風呂敷を広げていることを知っていて読んでるんですが。でもやっぱりこの風呂敷はすごいかも。読み込めば読む込むほど伏線に気づいてびっくりしそうだ。今日読み終わったばかりなので全然読み込んでいませんが。
というわけでこの話は「記憶の果て」B面でした。前作もかなりSF入ってましたが、今回はもっとSF。でも前作の安藤君の鬱々とした語りよりはだいぶ読みやすく、鬱々としていて先行きない感じは全然変わりはないんですが(笑)、「心地よくない」感はまぁ少なかったです。でも浅倉嬢はちょっと泣きすぎでないか?(笑)
個人的にはシンイチの話が何のために入っているのかよくわからなかったです。甲斐先生が美男子で、実は魅力的な人らしいとわかったのは収穫ですが(そうか?)。浦賀さんの書き方だと甲斐先生も鬱々とした神経か細そうな人にしか見えないんですけど(笑)。でもシンイチの視点があるので「ほぅ、実は美男子ですかい」なんて思ってみたり。だからって何もならない話なんですけど。ええ、本当に美男子でもどーしょーもない。この話に一人美男子がいるんだと思えば、少し心が和むかなと思ったんですけど、全然和みません。
こういうミッシングリンクのお話はもともとすごく好きで。ジュゼシリーズ(古すぎる)なんぞ思い出してしまいました。でもジュゼシリーズは風呂敷でかすぎてむしろ「ミッシングリンク」というよりも「だだっ広い風呂敷のなかの点」(笑)という感じでしたし、大塚さん田島さんコンビのMADARAシリーズもそういう部分が好きで読み始めたんですけど、やっぱり書ききれないまま忘れられていっている(笑)ようですけど…この浦賀さんの話は広すぎず話も順調に進んでいるようなので、初めてまともにミッシングリンクが埋まっていく快感を味わえそうです。そういう意味ではとてもおもしろいし、残りを読むのも楽しみです。安藤君のお父さんの自殺の理由とかもわかるようだし。
(2001.9.27)
お、おもしろい…。
「記憶の果て」から続いているシリーズの3作目です。時系列的には「記憶の果て」のあとで、一作目で高校卒業直後だった主人公安藤直樹くんが大学生になってますね。でも、一作目と違って視点は安藤くんではなく、大学の友人の穂波くんです。一作目の安藤くんの語りよりはだいぶ読みやすいです…ていうか、もしかしたら、単純に作者の文章力があがってきているのかもしれない(笑)。考えてみればこの人「記憶の果て」書いたとき19歳ですからね(笑)。
でも読みやすくなったと言っても別に路線が変わったわけではないので、相変わらずうじうじとした一人称で、「うっとうしいなぁこいつ…」と思ってしまうのは避けられないのですが(一作目の感想で書いている「心地よくない」感ですね)、そんな好き嫌いをぶっ飛ばすおもしろさに思わず感服。お、おもしろいです。めちゃめちゃおもしろい。
今回の前半は首なし連続殺人事件とか言っててかなりフツーのミステリーぽく進んでいたので、そのせいもあったかもしれませんが、ラスト近辺の怒涛の力技の連続に、簡単に投げ飛ばされた私です(笑)。めちゃめちゃおもしろいー。いや「ミステリ」って枠で見るときっとこれ「大反則」の連続なんでしょうけど…(笑)、でも「記憶の果て」「時の鳥籠」と続けて読んできた私はもう「おもしろい!」の一言。「時の鳥籠」で書いた「ミッシングリンクが埋まっていく快感」そのものでした。これはまぁ読者を選ぶだろうとは思いますが(この世界設定自体についていけん、って人もいるだろうし…)、むしろミステリーファンじゃないところに需要がある面白さじゃないかなぁ、これは。
それにしても、大学生になってすっかり壊れている安藤くんが!とてもツボで、ヤバかったです(笑)。うう、あの安藤直樹にツボ押されるとは…と「記憶の果て」を思い返すと、とほほな気分にもなるのですが。穂波くんの視点がよかったのかもしれないけど…それにしても、安藤くんすっかり壊れ果ててます。
まだ私も全作読んでないので、断言は出来ませんが…でも今のところかなりお勧めです。読みにくい部分はかなりあるんですけど、せめて3作目までは読んでみてほしい感じ。そういう作品ってあるんですよねぇ。篠田真由美の建築探偵とか「とにかく4,5作目までは読んでみて!」という感じだし(笑)。
(2001.10.24)
ぐはっ。と思わず血を吐きそうになってみたり(笑)。「記憶の果て」から続いているシリーズの4作目。時系列は…うーん?どの辺になるんでしょうかね?作品中でもかなり過去と未来が行ったり来たりするので、実は混乱。でもとりあえず「記憶の果て」よりはあと。一部「頭蓋骨の中の楽園」よりも過去ないし平行しており、一部「頭蓋骨」より一年半ぐらいあと、って感じでしょうかね。…どこかでこのシリーズの時系列をまとめてくれているサイトとかないでしょうか(笑)。
いやぁ、相変わらず力技を見せてくれます。読んでいる間中「えっ?!」「はぁ?!」みたいな感じで、全体に力技なので、嫌いな人は嫌いかも(^^;; 私はその「えっ?!」と唖然とさせられる感じがとっても面白いんですけど。特に前巻辺りからその力技加減がとても面白くなってきたんですが、その反面この「とらわれびと」のえぐさはきついー!(笑)。かかか金田君が…(^^;; 確かに私は金田君があまり好きではありませんでしたが、だからといってそこまで壊れなくとも。安藤君があんまり出ませんで(というか出る必要なかったかも。この話)、おまけにこれじゃ死神みたいですよ。別に構いませんけども。
そしてすっかりラスボスとなった萩原氏。なんだか京極シリーズの堂島大佐みたいですねこの人(笑)。でも堂島大佐よりも萩原氏のほうが壊れ度が高いですが。あ、そか。前作の最後があんなに楽しかったのは、考えてみたらラスボスと探偵(ただし現在壊れ中だし、もしかしたらこいつも十分死神かも)の直接対決だったからだな…(笑)。一応今のところ私の中では安藤君が主役なので、最終的にラスボス萩原氏VS安藤くんという形になるとすわりがよいのですが、どうかな?(^^;; 安藤くん本当壊れてるし、この作者はそういう思い入れや救いみたいなものを粉砕して回っているので(笑)、安藤君に関しても全て粉砕されてしまうかもしれないですね。そうなったらなったでしょーがないですけど…(^^;;
前作はこのシリーズの世界観に直結している感じだったので、もはやミステリとしての枠組みもぶっ飛ばしていたんですが、今回はわりと今までちりばめられてきた細かい謎を拾っている感じだったので、けっこう本格ミステリっぽいどんでん返しがちゃんとあった、ような気が(「記憶の果て」は読んでないとお話にならないとは思いますが…)。私的にはこのシリーズは楽しみのツボがこの風呂敷の広さにあるので、別にミステリらしく一作品できちんと閉じる必要はまったく感じてないですけど、そういうどんでん返しがあるならあったで「ええっ?!」ってビックリでした。この真相は想像もしてなかったです。でも安藤くん、やっぱり死神みたいだよ…(笑)。
うーん、このシリーズもあと一作で追いついてしまうんですよね。さみしい…。
(2001.10.31)
「記憶の果て」と繋がっているシリーズ。今回は番外編という感じで、過去のお話です。いやはや、のっけからさんざん「カニバリズム」を書き込んでくれてえぐいわぐろいわ、参りました(笑)。そうでなくても心地よくない感の強いシリーズですのに。どんどんエグくなってる気がしますね、このシリーズ。今回は設定がバトロワを思い出しました。結局はさほど殺戮してないと思いますが、バトロワよりもはるかにエグいのでは…(笑)。
でもそれだけエグくても、キャラはどいつもこいつもぶっつんイッちゃってて(笑)およそ感情移入が難しくても、面白いんですよね、これがまた(笑)。一気に読了しちゃってますからね〜。
今回は、私、このシリーズではいちばんやってはいけないことをやってしまいました。「とらわれびと」を読んで以降、そもそも新しく本を読んでいなかったので、このシリーズもかなりストップしてたんですが…細かいことを忘れてしまっていたよ!!(笑)いやぁ、このシリーズは前の話の設定を忘れてしまったら楽しみが半減、いやそれ以上かもしれません。本当残念です。真由美のことも忘れ果ててたし…これは気付きたかったですね〜。
安藤裕子は世界の設定としては浅倉のようなキーパーソンではないとラスボスはおっしゃってたわけですが…うっそぉという感じ。だってこの女めちゃめちゃすごいよ〜。浅倉なんか霞みますよ。幻滅とゆーよりも「ま、負けた…」という感じなんですけど。幻滅する暇もなく、「うっそ〜…(絶句)」てな感じでしたしね(笑)。
先が楽しみです。<エグイグロイと散々言っておいて(笑)、でも楽しみ(笑)。
(2002.2.12)
安藤直樹シリーズ(と言っちゃっていいのかな〜主人公は主人公ですけどね)の6作目。とっても薄くて、バイトの休憩時間一時間ぴったりで読み終わりました。読み終わったのですが、その巨大な衝撃のあまり、なんか一瞬記憶からすかっと完全抹消してました(笑)。いや、マジで(笑)。
てなわけで、これまでのお話なんぞかわいいもんよかわいいもんよ!金田くんが壊れたのがなんだってのさ!!ぐらいの勢いで、えらいこっちゃな展開をしてくれました。とらわれびとの安藤くんが死神って、ささいなもんよかわいいもんよって感じ。あまりにも衝撃の展開だったので、ネタバレすら恐ろしくて書けません。衝撃過ぎてショックすぎて、逆に笑ってしまいそうです。さすがにあの安藤裕子の息子であったよ…。おおお…なんてヤツなんだ安藤直樹…。
話としては、分量も少ないですし、まとまりがいいわけでもないし、浦賀さんの作品としてはそんなに出来のいいほうでもないとは思うんですが…(正直に言って全面的にラストのインパクトだけで持っていかれた)。しかしこの展開は…シリーズとしては今後どうするのか?金田くんvs安藤くんって言ったところで、安藤くんももはやこれだし…。後半の安藤くんはどうも違和感があって、「こんな人だったっけ?」って気がしちゃって、しきりにわらをもすがる思いで「これはもしや安藤直樹という別人なのでは…」とか「なにかこう事実誤認がないだろうか」とかいろいろ無理やり考えたりもしました。あとね、ひっかかってたのが、今後の方向を決めるものすごい展開をしているわりには、話が薄いわけですよ。ある意味前作以上に番外編じゃない?ってぐらいの話なんですよね。で、「この薄い話でこんな方向にシリーズが行ってしまうのか…」って感じもありました。その辺もしきりに「なにか、なにか違わないか?」と疑いまくった原因なんですけど…結局なにもなさげです(;;)。後半の安藤くんの性格の違和感も、最後の狙いのためだったと見たほうが無難かも。ってことは、やはりこれは間違いなく、安藤くんか……。
どっちかっていうと番外編とゆーよりも、これはプロローグなのかもしれないですね。そう思いたい(第二希望で。「これはあの安藤直樹ではない」が第一希望です…)ってだけですけど。完全にいままでのミステリーとしての枠組みを破壊したわけで、名探偵がフツーのミステリーとしては機能しなくなりましたから…これが単なる破壊だとかなり困るんですよね。シリーズが尻すぼみになってしまいかねない…ので、プロローグだとゆーことで、次から安藤くん壊れ後の第二部が始まるんだと思いたいところです。壊れてないのならば、それがいちばんですけど(まだ言う(笑))。
それにしても毎度ながら読後感が悪い作品です(笑)。今回は語り手が女子高生だったので、読みやすかったし、展開もスピーディだったので、すごくすらすらと面白く読めた…ってのがいちばんよかったところ。だがしかし、出てくる人みんないやなやつで、読後感も読書中も居心地が悪くて大変です。世界は悪意と殺意に満ちてます(笑)。でも…面白いのは面白いんだよね〜(笑)。読後感がむちゃくちゃに悪い、浦賀世界は悪意と殺意に満ちている、浦賀さん食人好きよね…、等々は客観的事実としてあげておきますが、面白いのは面白いっすよ。先も大変に気になるので、これだけショックを受けてても次の安藤直樹シリーズも当然読む予定。あー、ただ、なにしろ読後感が悪いので再読する気にはなかなかならないので(笑)、いっぱい忘れちゃってるんですよね〜。このような展開を示唆、暗示するような内容が過去にあったなら、それは私が全面的に忘れているだけです。ぶっちゃけとらわれびとも内容自体はあんまり覚えてないし(^^;;。金田くんの話があんまり好きじゃなかったので、全然覚えてないんだよな〜。マズイです。
(2002.11.07)