Under the Sun

TOSHIについて3「いくつかの問題。」

2003.07.14(Mon)

98年当時、TOSHIを巡る状況は、いくつかの問題が複雑に絡み合っていたと思います。それぞれに別問題だと思いますので、ひとつひとつとりあげてみたいと思います。

レムリアという団体の持つ社会的な問題

マスコミでターゲットになった最大の問題点です。当時、まだオウムの記憶が鮮明で、自己啓発セミナーや宗教というものに世間的に抵抗が強かったのもあって、「カルト」かもしれないレムリアという団体自体の持つ問題がありました。

実際、倉渕氏は過去に「空中浮遊はある。私は見た」だとか「2000年に90%の人類が死にます」だとか、かなりカルトに近い発言があった人で、当時の取材の記録を見ても、穏健な自己啓発セミナーを開催しているようには見えません。ただこの時期、ちょうど倉渕氏本人が変化した時期だったようで、それ以前には終末思想のような過激なセミナー内容だったが当時はかなりおとなしくなっていたという話もあるので、TOSHIが受けていたものはこういう内容ではなかったようです。いまも「自然界の子」「自然に生きよう」てな感じの教えが基本的な路線だと思います。まぁ、その流れでときどきとっても「反社会的」と言っていい観念が飛び出すことはありますが…。

あとやはり自己啓発セミナーとかにありがちな社会的な問題があります。セミナーを受けた人が、家族と断絶してしまった、家を飛び出してしまった、お金を持ち出してつぎ込んでしまった、自殺未遂をした、というような話ですね。また、TOSHIのファンに倉渕氏のCDやポストカードを売ったり(倉渕氏のCDを買うと握手がしてもらえるとか)、倉渕氏のライブへのお誘い、レムリアの浄水器(…???)を売ったり、レムリアのTOSHIのファン対象の商売っ気というのは明確にあるような。レムリアの主張として「金儲けは醜い、そういう社会から離れてみんな自然界の子として生きるべきだ」ってな主張があるだけに、「んじゃーなんで、おのれらは浄水器を売ってんだ? なんでライブ一本に何万も取るんだ?」という疑問が生じるのはやむをえないかと。そしてこれが商売っ気ではなく、本当の意味での勧誘なんだとしたらそれはそれで前述の問題に繋がっていってしまいますしね。

最近はレムリアがカルトだという話はあまり聞かないですし、反社会的な団体とまでは思いたくありませんが、そうでなくともやはりはまってしまった人の金銭的な被害や家族とのトラブルなどの問題は大きいという話は見かけます。どこまでを被害者と考えればよいのかも私にはよくわかりませんが、そういった状況に陥ってしまった人(あるいはその家族)にとってはTOSHIはすでに加害者になりつつある…という状況も起きつつあるようです。あくまでネットの情報で私では事実は確認できませんが、そういう状況があってもおかしくはないとは思います。そして、これが、おそらく社会的な意味での最も大きな問題点なのでしょう。TOSHIだけのことではなく、カルトや自己啓発セミナー全体のもつ根本的な問題だとも思います。

マインドコントロール

当時、TOSHIが受けていたセミナーの内容が、ちょこっとはマスコミに出ているわけですが、手法的にはやっぱりマインドコントロールをかける手法に限りなく近いと思います。ていうかそのままなのでは?

いちばん有名なものが、参加者を罵倒し続けるというやり方ですね。TOSHIはこれを受けて、号泣しただのって話が出てます。彼の「バケモノアゴ男」だの「貧民」だの「金儲けに走る、醜いバケモノになってしまった」(書き写してるだけで泣けてきそうだ…)だのって発言は、このセミナーで受ける罵倒から出てきたものだと思います。そういう内容のセミナーを受けたことを、TOSHIは認めていますし(話ずれるけど、この辺からもTOSHIが事実関係での自覚的な嘘をついていないことは認めていいんじゃないかな、なんて。このセミナーを受けたって認めること自体、レムリアにとってはものすごく不都合であるはずですからね)。そしてTOSHI本人は「洗脳されていない」と言ってますが、洗脳とマインドコントロールは大きく違うようですけど、TOSHIとしてはもちろんマインドコントロールも受けていないと言うと思います(笑)。でもこればっかりは本人の言は全然当てにならないわけで。

ちょっと話が戻って、前段の社会的な問題ですが…問題が大きすぎるため、判断しかねる部分ではあるのです。個人的には、終末思想等で煽っていたころのセミナーに関しては、危険だと言わざるをえないと思います。でも、現在のセミナーはそこまでの過激さはないようですし、もっと内省的な内容になっているようです。で、そうなってくると、こういうセミナーの良し悪しってなかなか判断つかないものがあるんですよね。で、かなりいいかげんな判断になってしまうのですが、個人的には人様に迷惑をかけず、法律的に違反をしていないのなら、脇からごちゃごちゃ言うこともないかなと思ったりするのです。その手のセミナーすべてを否定はできないと思いますし。お金むしりとられたり家族と断絶してしまったりというのは問題でしょうけど…でも、その辺はやっぱり自己責任の範疇かなぁとも思うのです。そこのライン引きは難しいですよね。やっぱり。

ただ、TOSHIファンが商売の対象になるってところで、未成年や若い人が多いですから、その部分でTOSHIには社会的な責任があるだろう、っていう話もあります。そういったセミナーの広告塔としてTOSHIが活動することの是非ですね(本人は広告塔ではないと言っていますけどね。でも、これは客観的な事実として、事実上広告塔と同じ役割を果たしているわけですから、広告塔と言われてもしかたないんじゃないですか)。これは、私は正直判断しかねています。有名人としての義務だとか責任だとか言われるわけですけど、それに対してTOSHIが反発する気持ちはわからなくはないんですよね〜。

あと、「自然界の子」とか「金儲けに走るバケモノになるな」とか言っておきながら、おのれはなんで浄水器を売るんだ〜、ライブで万単位の金をとるんだ〜、どうしてCDを買った人と買わない人で、差をつけるんだ〜、等々、彼らの矛盾に対する疑問はとってもあります(笑)。ありますけど、矛盾がない論理なんかありゃしないでしょうから、それで「インチキだ」「レムリアは悪い団体だ」というのもまた極端であろうと思います。ただ、まぁ、それを教義として伝えているような状態ですから、そこで「綺麗事言ってるけど、おのれらは実践できてるのかよ。まずおのれがやれよ」と思うのはもちろん勝手だと思います。私はそう思ってますし(笑)。

ただし。いままでの話全部の大前提として、これって要はレムリアに接した人の判断力が正常な状態での話なわけですね。「自己責任の範疇」だと思うから、レムリアを危険な団体とは考えてないわけです。したがって、セミナーの形態が明確にマインドコントロールの手法であるとなると、話が全然違います。まず、判断力を奪ってから、上記のような状態に陥れるセミナーであるならば、やはりそれは問題でしょう。まして、そこにまだ判断力の十分に養われていない未成年などを引き入れるのは十分に問題があるでしょう。

そういうわけで、そんなところに行かないのがいちばんですが、やはりこの団体のやり方(少なくとも当時のやり方。現在のセミナーがどうなっているかは不明)はかなり問題があったのではないですか? 現在もこういった手法のセミナーが続いていて被害が出ているという話もあります。それが本当だとしたら「判断力を奪う場にファンを引き入れていくTOSHIは無意識の加害者だ」という意見にも私は納得します。事実がわからないので保留してますけど。

事務所の経理問題と、ご家族の問題

TOSHIが主張していた問題ですね。事務所の経理関係の問題。もともと社長であった次兄氏の問題があって、TOSHIと次兄氏が話し合いを続けていたがまとまらず、実力行使的に次兄氏サイドがマスコミを使って洗脳騒動を引き起こし、TOSHIをレムリアから引き離そうとした、というのがTOSHIの主張です。

でもこれについては、正否を論じるまでもなく、法律的に問題がありますから、当然社会の規範に則って罰するべきは罰すればいい話ですよね。ファンサイドから見たら、それが事実か否かって問題はあるにせよ、それ以上は突っ込みようのない問題だったりします。背任横領の事実が本当なら罰せられるべきだわなぁとしか言いようがない。そういうわけで、この件については、TOSHIにとっては大問題だったと思いますが、テレビのこちら側でファンがどうこう言える話ではありませんでした。事実かどうかだってわかるわけがないし。

むしろファンサイドから見ると、経理問題と強く繋がっているけれども、その結果TOSHIが家族と断絶してしまったというほうが大きな問題に見えました。ご家族に関するTOSHIの発言はかなり目を疑うものが多かったです。次兄氏に関しては、犯罪だとまで言ってましたから、言うまでもありませんけど、実は発言の対象は次兄氏だけではありませんでした。

「自分はずっと虐待されていた」「貧しい家庭に育った」などなど、それまでに聞いたこともない話が多出しました。それまでのTOSHIと言えば、Xのメンバーのなかでもっともご家族との話が出てきてましたし、私など、いちばんご家族と仲のいい人だと思っていたぐらいです。次兄氏はあまり知りませんでしたが、長兄のでやけん氏なんかはよくラジオなどで一緒でしたし。確かハワイとかで兄弟三人でゴルフに行ったとか話してたこともあったような。

そういう人に、突然「ずっと虐待されていた」なんて言われても、唖然とするしかありません。これがもっとも「は?」と思った部分だったかもしれません。もちろん事実は家庭内のことだし、はたからわかるものではないわけですが、とりあえず断絶してしまったことは確かです。「基本的に、今の僕の家族は香なんです」という発言もあったし。ま、そりゃそうなんだけどさ〜(笑)。

ムズカシイ……。

この件についてはとても難しい問題をはらんでいると思います。繰り返しますが、TOSHIが意図的な嘘をついていたとは思わないので、TOSHIは「虐待されていたのだ」と本気で思っているのでしょう。「貧しい家庭に育った」っていうのは…うーん?至ってフツーのご家庭だったように見えてましたが…。それに、当時は総中流家庭時代なのではないですか? 実際には中流でなくとも、中流の意識を持っている人がものすごく多かった時代だと思うし、また昔のTOSHIの話からはそういう雰囲気をすごく感じていましたが。ま、これについては、とにかく事実を知りませんので、断定はできません。

さて、「虐待」なんですけど。これももちろん事実はわかりません。これこそもっともわからないものだと思います。とりあえずTOSHI本人は「幼少時から大人になってまでもずっと虐待され、いじめられ、搾取され続けてきても、何も言えない兄弟、親子、家族としては誠に不条理な関係を、表向きには体裁のよい、理想的な家族のふりをして、ずっと演技し続けてきた私自身もいけなかったのかも知れません。」とか言ってて、本当にひどい目にあってきたように見えるわけですが。じゃあ、具体的に何をされたのかってことですよね。これが本当なら、「理想的な家族のふりをして」いた彼に、私もすかっとだまされていたことになるわけですが(笑)。

基本的に、TOSHIはいまでも簡単に「自分は虐待されていたんです」とか言ってしまうんですけど、なにを虐待と呼ぶかなんです。TOSHI自身、詳しく説明をすると、「いらない子だと思っていた」「捨てられると思っていた」「そういう恐怖がずっとあった」ということになって…正直言って誰でもあるような状況なのではないのかなぁと(^^;;。まぁ、「心身ともに暴力を受けて」と言う発言もあって、この辺の「暴力」をどう読むかってのもポイントかなとも思うんですが、男三兄弟ですからねぇ…。たまたま先日「hideDAYS」という本が出版されまして、松本裕士氏(hideちゃんの弟)のインタビューが載ってるんですけど、それを読むと、兄貴としてのhideちゃんもけっこうひどいもんです。「オレのものはオレのもの、おまえのものはオレのものって人ですからね」とか弟氏は言ってます(笑)。兄弟喧嘩でhideちゃんに木刀でぼかーんと顔を殴られたとかって話も出てます(笑)。

なにが普通かなんてわかりはしないので、兄貴がどういう人でこういう暴力があったのかはわかりゃしませんが、ま、男兄弟ならそういうこともありえるだろうなぁという気はするんですね。とゆーわけで、現実に暴力もあったかもしれんと。でもって、裕士氏はそれで兄貴に「虐待だ」と訴えることはなかったが、TOSHIは「虐待だ」と思ったと。そこは人それぞれだと思うんですよ。何がのちのちまでひきずる心の傷になるかなんて、わかりはしないですから。

ただ、TOSHIの話で非常に気になるのは、それが普通ではなく正しくもないし、自分は虐待されていたから、自分の家族は間違っていたと断定しちゃっているような口ぶりなんですよね。TOSHIの話だと、次兄氏なんかは虐待する鬼みたいな人になってしまいます(^^;;。そんなことはなかろうよ、と思うわけです。確かにTOSHIは心身ともに暴力を受けて傷ついたのかもしれない。それは人それぞれだからその通りなんでしょうけど、そうやっていちばん最初に引用したような「ずっと虐待され、いじめられ、搾取され続けて」なんて、公の場で言いまくるっていうのはどうなんでしょうか? さっきの言葉だけ見たら、いったいどんなひどい家庭に育ったんだ、どんなひどい家族なんだってなっちゃいますよね。もちろん本当にひどい親、ひどい家族って場合もあるでしょうけど…正直TOSHIの説明で感じるのは、TOSHIにとってはトラウマだったのだろうし、TOSHIの心にとっては虐待だったのだろうなぁという話です。でもって、そういうのは、どこの家庭でもどんな人でもあるていどあることだと思うんですよ。

TOSHIの傷そのものは否定しません。TOSHIの言いたいことはわかるんですよ。そこで虐待という言葉を使ってしまう辺りが、かなりセミナーに毒されている感じはしつつも(^^;;、気持ちそのものはわかります。でも、それを客観視する目があまりにも欠けていないでしょうか。どこの誰が、そんな正しい子育てをできると思っているのか? どこの兄貴が、弟いじめ(=TOSHI言うところの虐待)なんかしやしないと思っているのか?(あ、倉渕氏ですか(笑)…って冗談はさておいて) とにかくあまりにも近視眼的ではないかと。また、それを聴いた人がどう思うか、そういう話をずっと全国で言い回されている当のご家族の立場とゆーものは…?とか、そういう観点も抜け落ちてますよね。

ともあれ、TOSHIの心の傷に関しては了解しています。納得もします。彼が言う恐怖心はすごくよくわかります。でも、その理由としての「僕はずっと虐待されていたんですね」は、問題があると思う。

ところで、今気付きました。「どこの誰が、そんな正しい子育てをできると思っているのか?」って書きましたが、正しい子育てができるようになるために、みんなで「自然界の子」になろうって言っているのね、レムリアは(^^;;

Posted by koko at 12:00 AM | Comment (0)
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