Under the Sun

X「Jealousy」雑感

2003.08.13(Wed)

「Jealousy」 released/1991.07.07

このアルバムの存在は、私には大きかったです。多分これがなかったら、ここまでXとYOSHIKIさんにははまっていなかっただろうと思います。少なくとも、こんな一気に雪崩れ落ちるようなはまり方にはならなかったはず…。

レンタルした「BLUE BLOOD」がすごく気に入ったので、速攻翌日に「Jealousy」を借りてきました。レンタルだったんですけど、一応歌詞カードはついていて(…よくコピーできたな、この歌詞カード…)ライナーノーツを読んで決定的な衝撃を受けてしまいました。私はXのことは、もしかしたら一般常識だったかもしれない話も何も知らなかったので、YOSHIKIのこともまったくなにひとつ知らなくて。なので、これ読んで「なんて壮絶な生き方してる人なんだろう…」ってただただビックリしちゃったんですよね。音楽にそこまで賭けてしまう人がいるのか、そこまでやっちゃう人がいるのか、って存在自体に衝撃を受けてしまいました。

それでアルバムを聴き始めて、BLUE BLOODにあったちょっと笑っちゃうような部分も影を潜めて、最初から最後まですごいカッコイイ!と思いまして、一気になだれ落ちました。しかも私が好きだった部分、暗っぽくてハードってのもあったし、本当このアルバムは苦手なところがひとつもないんですよね。大好きなアルバムです。はい。

あ、でもひとつだけ。「ART OF LIFE」は単体でよかったと思うんですが、時間の関係で落ちてしまった「Standing Sex」はこのアルバムに入ってほしかったなぁ…。いまのJealousy大好きだから、それは全然いいんですけど、ただはみ出しちゃったStanding Sexが一人ぼっちでちょっと可哀想で…(笑)。

01.Es Durのピアノ線
 music/YOSHIKI

これ、すごく好きなんですね。ぴんと張り詰めたようなピアノの音が、繊細で神経症っぽくて、痛くて。いつかのライブでYOSHIKIさんがピアノソロでEs Durを弾いたのを聴いて…。すごいよかったなぁ。全体にこのアルバムのYOSHIKIは、いつもより繊細な印象が強いかもしれません。なんとなく。

02.Silent Jealousy
 word:YOSHIKI/music:YOSHIKI

これまたとっても好きな曲。ライブでは一回しか聴けませんでしたが…。私がJealousyに繊細なイメージを感じる原因はこの曲だと思います。激しい曲なんですが、他のこの系統のYOSHIKI曲に比べてなんだかすごく神経質で不安定なイメージが漂って聞こえるんですよね。メロのせいなのか詞のせいなのかよくわかりませんが。「VANISHING LOVE」「BLUE BLOOD」はやっぱり先は見えてないにしてもそれをなにかに叩きつけるような暴力的な強さがありますし、「DAHLIA」は苦しいなかでもまっすぐ立っている(だからこそ痛いという面もあるんですけどね)ような強さを感じます。が、この曲に関してはすごく危うい感じがあるんですよねぇ。

詞がなんかすごい痛いです。全編通して悲しい悲しいって言い続けているような。この人の、こういう感情の暴発っていうのは、痛くて可哀想な感じ。助けを求めている対象の「愛している人」は、明らかにすでに失われてしまっている状態なわけで。絶対助けてもらえない。その絶望な感じかなぁ。あと、TOSHIの歌が綺麗なせいもあるかもしれません。サビの盛り上がるところでもシャウトとか使わないで、とても綺麗に歌っているので。YOSHIKIは「30%の狂気」って言ってましたね。

あ、そうそう。初めてXの演奏シーンを見たのが、この曲でした。91年の紅白です。

03.Miscast
 word:HIDE/music:HIDE

この曲は低音がすごくかっこいいんですよね。ベース動きまくってますね。でもライブでは一度も聴けませんでした、確か。私が初めてライブに行った92年1月の東京ドーム3DaysがぎりぎりでJealousyツアーの流れだったんですけど、この曲はやりませんでした。ライブだと低音気持ちよさそうなんですけどねぇ…。と言いつつ、当時そんなことがわかったとは思えませんが(笑)。

詞がHIDEちゃんはけっこう得意なシニカルな感じなんですけど、TOSHIがいきなり「オレのことかな(笑)」とテレビかなんかでいきなりほざいて「冗談になってません!!」とあわてた記憶があるなぁ(笑)。でも、この詞はX全体があてはまっちゃいますよね(笑)。HIDEちゃんの詞はそういうところ、ありますよね。「え、え、誰のこと?」みたいな。でもHIDEちゃんってこういうの書くとき、きっと自分のこともいっしょに斬ってるんじゃないかって気がします。客観視できちゃう視点のある人だから、的を射てますよね〜。ライナーノーツにある「文学的な詞」って表現は、私はよくわかんないんですけど(笑)。

04.Desperate Angel
 word:TOSHI/music:TAIJI

とてもかっこいいです。アメリカンで、それまでのXにはないカラーですよね。Miscastに続いてベースかっこいいなぁ。でもサビ部分はいいとして、他のパート、YOSHIKIが思いきりツーバス披露しまくっててちょっと笑えます。隙間恐怖症のような埋めっぷりで…(笑)。

TAIJIはこういうのやりたかったんだろうなぁって思う曲ですね。YOSHIKIは音楽的にこういう指向性全然持ってないですし、なんか残念な結果になっちゃいましたが、この曲自体は本当すごくかっこいいと思うなぁ。あとタイトルも好きなんです。TOSHIがつけたんでしょうね。あ、でも…。この曲とは関係なく「Desperate Angel」って言葉自体は、当時はYOSHIKIのイメージとかぶっちゃったなぁ…と書くといまだと大笑い…?(笑) 当時はあくまで「Desperate」込みという条件でなら「Angelイメージ」イケたと思うんですが(笑)。単なる「Angel」は当時から全然無理ですけども(笑)。

05.White Wind From Mr.Martin〜Pata's Nap〜
 music:PATA

PATAちゃんのアコギインスト。曲は超短いくせに、タイトルは異様に長い。YOSHIKIが「White Windだ、White Windだ」ってうるさかったらしいです。とりあえずこのアルバムのいちばん好きなところって、この幅広さかもしれません。アコギインスト、打ち込みインスト、高速パンク、アメリカンロック、と全曲カラー違いますよね。聴き慣れちゃっててあえて不思議にも思わなかったけど、改めて考えると本当幅広い。

ところでこの曲、ライナーノーツが一言「That's Pata's World!!」で終わってます(笑)。

06.Voiceless Screaming
 word:TOSHI/music:TAIJI

めちゃめちゃ好きな曲。もしかするとこのアルバムでいちばん好きだったかもしれません。この系のマイナーバラードに弱いんですよ、私。TAIJIとTOSHIのコンビは本当いい曲作ってますね〜。

この歌詞すごくいいです。とても切実で。「自分自身を信じれば 自分の選んだすべてを受け入れられる」すごくTOSHIらしい部分ですね。でも英語よりも訳のほうが意味が直接的だなぁ。

あ、そういえば、確かTAIJIのD.T.R.でこの曲はタイトル変えてやっていたような。

07.Stab Me In The Back
 word:白鳥瞳/music:YOSHIKI

ドラムの叩きすぎて首痛めて倒れたくせに、最速の曲をわざわざ収録する人たち。そういうバカなところがとてもいとしいです(笑)。

というわけで、Xの最速の曲ですね。ずいぶん昔からある曲で、ライブ定番曲だったらしいのですが、私が行くようになってからはなんかやらなかったのです。多分生では聴いたことないんじゃないかなぁ…。FILMで聴きましたけども(笑)。

08.Love Replica
 word:HIDE/music:HIDE

打ち込みインスト曲。ロックという範疇を大きく逸脱してるような。「HIDEの部屋」の世界がそのままアルバムに持ち込まれた感じです。でも、私はXにはまるまでは何でも聴く雑食型で、ロックにはなんの頓着もなかったし、ZABADAKというけっこう頓狂な曲を多く作る人たちを好んで聴いていたのもあって、この曲はナチュラルに聴いていました。いちばん最初に見たライブの「HIDEの部屋」には、唖然としましたけど。

09.Joker
 word:HIDE/music:HIDE

KISSとかが好きだったHIDEちゃんの、パーティーロック路線ですね。でもライブではどっちかっていうと「CELEBRATION」のほうが残ってましたね。この曲は数えるぐらいしか聴いてないです。これも踊れる楽しい曲なんですけど。

この曲、CMのタイアップを取ってまして、シングルカットされるはずが「Standing Sex」のC/Wになりました。えーと、整髪剤かなんかのCMでしたよね、たしか。

10.Say Anything
 word:YOSHIKI/music:YOSHIKI

「打倒ENDLESS RAIN」ってことで作った曲だったらしいです(笑)。それを知ってたわけじゃないですが、私は「ENDLESS RAIN」よりこっちのほうが好きでした。ただYOSHIKI本人はこの曲のレコーディングにはそういう苦渋の思いをさせられたそうで、なんか愛憎半ばしている感じでしたね。〆切に追われて結局TOSHIのボーカルが一部直しきれないままになってしまった…という話だったんですが、どこが駄目なのか私にはわかりませんです。YOSHIKIにしかわからないのでは…(笑)。

そのせい…とは思いませんが、ライブではほとんど演奏されることがなかったです。いーーーーっぱい聴いてるんですけど、いっつもいっつも、SEだったんですよね(笑)。なんかライブ終わったあととかカーテンコールをしてるときとかにいつも流れてました。

とても綺麗な曲です。詞は内容的にはなんか大混乱している気がするんですが、それでもサビで繰り返される「Say Anything」って言葉がすごく切実で、きれいなメロディーとあいまって、儚くて綺麗なイメージを作ってる気がします。

Posted by koko at 12:00 AM | Comment (0)
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