Under the Sun

X-JAPAN「DAHLIA」雑感

2003.08.16(Sat)

「DAHLIA」 released/1996.11.04

デビュー7年目にしてようやくリリースされたメジャー3枚目のオリジナルアルバム。前のフルアルバムから数えると実に5年が過ぎてました。その間の私はというと、一時期はXのあまりにも長い不在に頭がおかしくなって、なんだかわけがわからなくなってました(笑)。その時期の私の心境は、冗談ごとじゃなかったんですけどね(笑)。

ただ、いかにXとはいえ、5年間もリリース何もなしじゃ、いくらなんでもレコーディングするお金がなくなっちゃいますから(それでも私の感覚では、どうやってXがやりくりできていたのか不思議なぐらい…)、毎年なんやかんやとシングルが切られていました。その結果、アルバムは半分以上がシングル既出曲という、結果的にはベストアルバム状態。ぶっちゃけた話、「えっ」っていう驚きの少ないアルバムではありました。

とか言いつつ、実はBLUE BLOODとは全然別の意味で、聴くたびに泣きそうになるアルバムだったりします。真剣に泣いちゃったこともあります。最初に聴いたときから泣かされてビックリしました。いきなり泣かされて自分でビックリしたことも、覚えています。

BLUE BLOODはライブを思い出してしんみりしてうるうるするんですが、このアルバムはただ聴いてると泣きそうになるんですよね。と言ってもなんだか幸せな涙じゃない感じなので、人様にはお勧めしにくいんですけど。さみしくてつらくて悲しくて、でも「Silent Jealousy」とかみたいに「悲しい悲しい」って悲鳴みたいに連発するんじゃなくて、ひっそりとその感情を伝えてくるので、切なくなってくるんです。切実な、希望と絶望が入り混じっている分、切なさ倍増しというか…。

このアルバムだけで、いろんなことを思い知らされて胸が痛くなります。

01.DAHLIA
 word:YOSHIKI/music:YOSHIKI

タイトルチューンですね。94年東京ドーム「青い夜」「白い夜」のときにすでに演奏されていましたが、歌詞とかかなり変更が入ったらしいです。その後、96年2月にシングルとしてリリースされました。

最初ライブで聴いたときからずいぶん凝った曲だなぁと思いましたが、レコーディングされたものを聴いたらそれどころじゃなかったです。ど素人でそういう耳をまったく持ち合わせない私でさえ、この異常に凝って凝りまくって神経質さえ超えてしまっている音は感じました。隙間が存在しないのです。隙間って音の隙間じゃなくて(いや、それもありませんが)、自然に流れるところというか、自然な空気感みたいなものがない。全編全箇所に神経が行き届いている感じ。そのよしあしは微妙だと思いますが、とにかくそういう曲だったということです。もともとYOSHIKIはすごく神経質で細かい人ですが、この曲は究極ですね。私にさえわかるぐらいだったんだから。

私はとても好きな曲です。なんかそういう神経質な作業を重ねてるんですけど、その神経質さってちょっと病的なぐらいなんですが、その反面強さも感じるので。YOSHIKIなので簡単にどかんと前向きになれる人じゃないんですが…いや、そもそも前向きとも言えない感じなんですが(笑)、それでも「YOU CRY IN REALITY」って歌詞は「おお」って思いました。それまでよりもなんか骨太になった気がして。根っこのところがしっかりしたという印象を受けました。ただし、強くなったから痛くなくなったわけではなく、強くなったからこそさらに痛くなるという面もあったと思いますが…。

シングルのジャケットがYOSHIKIの横顔バージョンとお尻バージョン…いや、あの、背中ヴァージョンと二種類ありまして(笑)。私はまんまと2枚買いました。黒い紙で隠されてて選べないようになってたんですが、確か2枚買っただけで両方出たと記憶しているので、まぁ、運がよかったです。あ、そうそう。髪切って初めてのシングルだったんですね。

このアルバムをヘヴィローテーションにしている頃、うたた寝しててよくこの曲のアタマのドラムで叩き起こされました(笑)。いきなり爆音なんです。CDのタイマーを目覚ましにするなら、これほどぴったりの曲はないでしょう(笑)。

02.SCARS
 word:HIDE/music:HIDE

これも「DAHLIA」と同じ94年東京ドーム「青い夜」「白い夜」のときに演奏されていた曲でした。でもそのときはタイトルが「SCARS ON MELODY」でした。インタビューでYOSHIKIが「タイトルが嫌で変更してもらった」という話をしてて「へぇ、そんなことするんだぁ」とちょっと意外に思ったんですよね。ちなみにその理由は述べられてませんでしたが、私は勝手に「YOSHIKIは多分めろでぃに傷をつけてほしくなかったんだろう」と思いました。

けっこう詞の内容のほうも深読みが可能なんですけど。いや、深読みする以前に、私にはそのままXの現状を歌っていてかつYOSHIKIに向けて歌っているように聞こえちゃったんです、これが(笑)。Xが先に進めないことを苛立っているような、変質を恐れているような。そう聴くと、痛い部分と本当に好きなのね…という部分が入り乱れて、私もついでに複雑な心境になるんですが。でも、そういうふうに読むと読めちゃったんですが、本当にそんな内容の詞であるのかは誰もどこでも語っていないので、不明です(笑)。この詞についてはなんか深く考えると痛い気がするんだけど…でも一応当時考えてたことなので、書いてみました。

さらに私流解釈を書いてしまうのですが、HIDEちゃんてすごい二面性がある人だと思うのです。とてもピュアに音楽(…「音楽」はYOSHIKIですね。HIDEちゃんの場合は多分「ロック」だ)の可能性を信じたいし信じている部分と、すごく醒めた目でその大事なロックを俯瞰してる部分もあって「所詮」みたいな部分も持っている。わかる人にはわかる例えで言いますと大槻ケンヂさんみたいな部分なんですけど。でも、大槻さんより志向性として、信じたい、信じている、ピュアでいたい、という気持ちが強い人で。だから、これを書いた頃、HIDEちゃんはすごくXのことが大事だった、YOSHIKIのことが大事だった、自分たちは先に行けると、もっと先に行けると信じたかったんだろうと思うんですよね。でも、HIDEちゃんは盲目に信じていられる人でもないので、この曲はそういうジレンマの苛立ちなんじゃないかと。だから、これをXだと思って読むと痛いんですけど、同時にすごい愛情と言うか思い入れも感じるんですよね。繰り返しますが、これはKOKOの勝手な解釈です。ハイ。

ほんのこないだまで存じ上げませんでしたが、世間的な解釈としては「Xで没になった曲への追悼」っていうのと「脱退したTAIJIに向けたもの」というのがあるみたいです。ぜ、全然違うじゃん…(^^;;。私の解釈ってすごく一般からズレていたのね…(笑)。

音はとてもヘヴィでかっこいいです。でもフツーのヘヴィーロックと言うのはちょっと不思議な歪みみたいなのも感じます。なんでかなぁ?リズムが変わってるのかな…。

03.Longing〜跡切れたMelody〜
 word:YOSHIKI/music:YOSHIKI

94年東京ドーム「青い夜」「白い夜」でデモテープとして配布された曲。そのあと95年8月にシングルリリースされました。デモテープはけっこうバージョンが違うんですよね。歌詞もサビのいちばん大事な部分が「live without you」だったのが「sing without you」に変更になってたり。

どっちにせよ、最初聴いたときはこの歌詞にビックリしました。だっていままでYOSHIKIはずっと「あなたなしでは生きていけない」って歌ってたんだから。93年の「Tears」ですでにその変化の予兆はあったわけですが、それにしても「明日も生きるだろう」「貴方に会えなくても」って部分と合わせてすごいビックリしましたね。なんか、ずっと泣いている子どもだったのが、一人で立とうとしているみたいな印象で、すごくきれいな気がしました。

ちなみに、変更後のsingのほうが私は好きです。歌うって言葉にさらに前向きなイメージがありました。でもって、二番の歌詞がすごく好きなんです。「I still have a longing for your memory/傷つくだけでも/心を伝えたいよ/今は……独りにしないで/降り注ぐ雨に壊れそうな夢/明日も奏でるから」っていうのが。強さ(sing without youですね)と切なさが同居してて、すごく好きです。

最初に書いたとおり、このアルバムは涙腺刺激されがちなんですが、最初の波はこの曲(笑)。

04.Rusty Nail
 word:YOSHIKI/music:YOSHIKI

94年7月にシングルリリースされた曲。ドラマタイアップを持ってましたね。賀来千香子主演で、それまであんまりドラマタイアップに慣れてなかった私はRusty Nailを聴くとふと彼女の顔が浮かんでしまうという状況にちょっとむっとして、一回目しか見なかったのでした。あとから聞いた話ですが、ドラマの〆切にレコーディングが間に合わず、予告のときはまだギターが入ってない状態で流れていたという話でした(笑)。

「WEEK END」の第二章、という話でした。曲調もWEEK ENDと同じくXにしては聴きやすいほうだと思います。最初に聴いたときは「えっ?」って思ったぐらいポップに感じました。ライブではオープニング曲として定番になりましたね。SEの「AMETHYST」が終わったところで、キーボードがチャラリラ〜って入ってくるという。あと94年年末のSUPER LIVEが30日で。ドームに中継が入ったんですね。それでこの曲を演奏しました。あとでビデオを見てなにやらすごく嬉しかった記憶があります。

間奏でYOSHIKIが詞を朗読してるんですが。それはいままでもいっぱいやってることですが、この曲は朗読にリズムがついてたんですよね。それを聴いて「こいつ、小室みたいにいつか歌い出したらどうしよう…」とかちょっと思いました(笑)。でも、冗談は置いておいて、このパートは多分「YOSHIKIの歌」なんだろうなぁと思ったり。

05.White Poem I
 word:YOSHIKI/music:YOSHIKI

アレンジからギターからベースからプログラミングから、全部YOSHIKIが一人でやってます。TOSHIのボーカルもすごい大胆にエフェクト処理されてまして、イメージは女性の声だったらしいです。

このアルバムはこの曲と次の「CRUCIFY MY LOVE」がとにかく重くて…。いままでのアルバムでもYOSHIKIはずっとつらいと言い続けてきたわけですが、このアルバムではその苦痛に対してもはや暴発もしないんですよね。つらいと叫ぶこともしない。疲れ果てたような静かさで、ただつぶやいているっていう。「Tell me why/Tell me why/Tell me why the wind is so cold」「Tell me why/Tell me why/Tell me why I feel so blue」ってエフェクト処理されたTOSHIの声が、細く細く歌っているという。

この中盤の二曲はどちらもバンドがまったく参加してなくてYOSHIKIとTOSHIしかいなくて。このパートはひたすらYOSHIKIの孤独の苦痛のパートです。93年に「Tears」が成立して、94年末の段階では「DAHLIA」「Longing」「Rusty Nail」が成立してたんですが…多分この2曲はそのあとに書かれたものだと思います。Tearsを書いたときにはつらくても進める気がしたのに、生きていこうと言えたはずなのに…また見失ってしまったのかなと思います。本当このパートは聴いているとつらくって、当時のYOSHIKIが痛々しくて泣けてきます。

(ただし、DAHLIAは94年末とは歌詞が大幅に変更になってますし、「REALITY」ではあるけれども「YOU CRY IN REALITY」ですので…多分その後のYOSHIKIの状況を受けて内容が変わっている気が。今のDAHLIAはたぶん「傷だらけで泣きながら、でも現実にいる」っていう曲になっているのではないかと思います)

06.CRUCIFY MY LOVE
 word:YOSHIKI/music:YOSHIKI

「White Poem」のトークを書いたあとにこの曲の詞をしみじみと読みながらしみじみと聴いていたら、本当に泣けてしまった(笑)。こんなものすごく暗くて先行きのない曲なのに、私はものすごく偏執的に好きな曲なんですけど…。

96年8月にシングルリリースされてますが、その時期にはアルバムのレコーディングは終了していましたから、いわゆる普通の先行シングルです(このアルバムは大先行シングルが大量だから(笑))。でも実は、95年の東京ドームの前ぐらいかな。何のアナウンスもなくいきなり日石ZOAのCMソングとして、すごく美しいピアノとTOSHIの声が聞こえてきまして。もうひっくり返るほど驚いて、そんではじめて聴いたときからこの曲が大好きで大好きで、あのたった15秒を聴くためにビデオに録ったCMを何度も何度も見返しました。曲の静かさと、ファンがまったく存在さえも知らない曲が突然CMソングになっているという状況がリンクして…なにかXがいままでと違う!みたいな印象もありました。普段Xってなにするにも先に風呂敷広げて「どーだっ!」って感じで出してくるので…この曲の密やかさっていうのはXとしては本当初めてのことだったと思うし、特殊なことだったと思います。

この曲に至ると、YOSHIKIはもうつらいとつぶやくこともしません。詞はかなり抽象的に書かれていて、いろんな意味で取れてしまいますし、具体的になにを歌っているのかははっきりとはわからないんですけど。けれどここにあるのは多分、自虐と、そして絶望だと思います。と言ってもYOSHIKIが全部に絶望していたとは思わないんですが…でも、やっぱりYOSHIKIのある部分がある時期、希望を見失いかけていたのは…確かだと思うんですね。このとき、彼はものすごく孤独だったんだと思うのです。もう人に「つらい」と訴えることもできないぐらいに。全部背負って一人でL.A.にいて、でもそれも自分で選んだことで自分がやるしかなくて…。この時期YOSHIKIはどうしようもなく迷っていたと思うし、同時にどうしようもなく孤独だったんだと思います。そういう曲に聞こえます。

07.Tears
 word:白鳥瞳&YOSHIKI/music:YOSHIKI

もう何度か話に出てきちゃってますけど、93年11月にシングルリリースされました。白鳥瞳が出てきた最後の曲で、最初で最後の共作。DAHLIA収録曲の中でいちばん最初にあった曲ですね。そもそもは92年の紅白歌合戦のテーマ曲として作曲されたもので「Tears〜大地を濡らして」というタイトルがついていて歌詞も内容も全然違いました。YOSHIKIがNHKホールのパイプオルガンを弾いてましたね。和田アキコさんとか北島三郎さんとかが歌っていて、なんか拝見していてちょっとすごいものがありました(笑)。

白鳥瞳とYOSHIKIっていうのは、まぁ単純に言ってポジティブとネガティブだったわけですが、それがこの曲で共作を行い、これを最後に白鳥瞳が消滅しました。白鳥瞳は「オルガスム」とか「X」とかの頓狂なぐらいに破壊的なパワーあふれる詞を書く人だったわけですが、Tearsの詞はすごくきれいで「どこが白鳥瞳?なんでわざわざ共作?」と私は当時すごく不思議に思っていました。でも、今は私なりの解釈としては、おそらくYOSHIKIは白鳥瞳の力を借りることで、語りの言葉を、意志を、自分のカオスのなかから引き出したのではないかと思っています。多分「希望」として。そしてこの曲でYOSHIKIと白鳥瞳は統合されたのではないでしょうか。白鳥瞳だけじゃなくて、ART OF LIFEで徹底的に書かれた人格分裂はここで終止符を打っていると思うんですけど。統合されてなくても、少なくとも詞の素材としてはここで終わっていると思う…。

お父さんに宛てた曲だと、YOSHIKIがはっきり言っている曲でもあります。YOSHIKIはこのときまで「愛」という言葉を使いつつも、ずっと苦しい悲しい痛いと言い続けていて。多分それは捨てられたと思った子どもの寂しい悲鳴だったんだと思うのですが…この曲はすごく愛情にあふれていますね。悲しいけれども、優しくて強くて。アルバム「DAHLIA」は本当はこの、悲しくて優しくて強い意志で終わるはずだったそうですが…結果的にはそのあともYOSHIKIはいっぱい傷ついていっぱい苦しんで時間が経って。「CRUCIFY MY LOVE」などを加えて、DAHLIAは変わりました。Tearsの希望が傷ついていく過程は本当悲しくて切ない姿だったけれど…Xはそうして終わっていったから、その時間の流れが本当切なくてしょーがなかったりするんですが…それでもこの希望は傷だらけになってもYOSHIKIのなかで消えないし(CRUCIFY MY LOVEのあとにこの曲があるっていうのはそういうことだと)。CRUCIFY MY LOVEも悲しくて痛くてしょうがない曲ですが、それはとても密やかではかなくて美しくて私の心を揺さぶったりする。それはやっぱり、すごく素敵なことなんじゃないかなと…。

08.WRIGGLE
 music:HEATH&PATA

短いインスト曲。打ち込みとギターの曲。実は7曲目のTearsがこのアルバム最後のバンドサウンド曲で、この曲はHEATHとPATAのふたりで作っています。演奏もふたりだけですね。HEATHが持ってた曲をいろいろYOSHIKIが聴いて「この曲がいい」ということで収録されたみたいです。ていうか、もともとHEATHの曲を収録するということ自体YOSHIKIの意向だったようです。全員参加してほしいという。…突っ込むと痛い部分ですが、やっぱどっか歪んでますわね、このバンド…(^^;;

HEATHらしい曲ですね。HEATHの曲は、打ち込み多くて音色とかの路線はHIDEちゃんとかとも近いんですが、HIDEちゃんよりはぶっきらぼうな感じがするかなぁ。でも音色の傾向から行くと、どっちかっていうとHIDEちゃんの曲がポップなんでしょうけども。

09.DRAIN
 word:HIDE&TOSHI/music:HIDE

この曲のクレジットも、見ると3人しか参加してません。ボーカルTOSHI、ギターHIDE、ベースHEATH。打ち込み中心のへヴぃーなロックで、その後zilchのアルバムにも歌詞を変えて収録されてます。インタビューによると、「MISERY」がすでに作曲されていたらしいんですが、YOSHIKIの「悲しいアルバムにしたい」という意向で「MISERY」はパスになって、この曲になったという話。でもってこのときYOSHIKIは、物理的にドラムが叩けなかった(頚椎椎間板ヘルニアを発症していた)ので、打ち込みになっていると。…なんだかもうズタボロな感じですね。

HIDEちゃんカラーがとても強い曲。アルバム聞いたときは新曲ってこの辺しかなかったわけですが、すごくビックリしました。なんだかXにしちゃずいぶんスマートにかっこいい曲だわ!とか思って(笑)。この曲はかなりすごく好きでしたね。かっこいいと思います。

10.Forever Love -Acoustic Version
 word:YOSHIKI/music:YOSHIKI

96年7月にシングルリリースされた曲のストリングスバージョンですね。頚椎椎間板ヘルニアで倒れてからの復帰第一作目だったんですよね。でも、このときは本当に復活できるのか、もうYOSHIKI自身にもなんとも言えない状況でした。実際ドラムは全然叩いてなくて(シングルのときもドラムは打ち込み)。「以前のようには叩けないかもしれないけど、それでももう一度叩けるようになりたい」と言ってましたが…。

この曲に至ってはクレジットは、ボーカルTOSHI しかありません。いえ、シングルバージョンがちゃんとバンド曲なんですけど、アルバムに収録されたのは完全にストリングスとTOSHIだけのバージョンだったのです。アルバムバージョンは本当にTOSHIの歌のためだけの曲という趣があります。YOSHIKIはもともとすごく、TOSHIの歌を大事にしている人だったけどもね。

この曲で終わるっていうのが、このアルバムの、とても美しくて悲しいところだと思います。「Forever Love」っていうタイトルからすると永遠を歌えてそうな印象になるけども…むしろ内容的にはそういう内容なのは「Tears」のほうで。「Forever Love」は希望と絶望のはざまの、祈りの曲だという気がします。「どうか永遠であってくれ、どうか行ってしまわないでくれ、どうか終わらないでくれ(駄目なのかもしれないけれど…)(永遠なんてないのかもしれないけれど…)」そういう祈りを感じます。

でもこのアルバムのなかのYOSHIKIの曲っていうのは全体にそうなんですが…感情が爆発する感じがないんですね。CRUCIFY MY LOVEのところでも書いたけど、もう人に訴えることもできなくなっていたのかなぁと思ったりします。この曲のこれだけ切実な祈りも、すごく抑えて繰り返されている感じで…それだけにいっそう切ない気がします。

Posted by koko at 12:00 AM | Comment (0)
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