33話「友の死」その三
2005.07.21(Thu)
この調子では、ここから先に進めないので、中途半端でもなんでも、とにかく書きます。箇条書き方式で書いてみよう…。
○戻ることを決意してしまった動機はいったいなんだったのか?についていくつかの仮説。
1..明里の行動や沖田君と出会ってしまったことを神の手と受け止め、「これが運命だ」と思った。
2.沖田君がのんびりやってきたことによって、自分を助けようとしている近藤さん土方さんの気持ちに気付いた。
2-1.大切に思われていた自分に気付いた。
2-2.やはり自分は(居場所がなかろうとも)新選組にいたい、新選組として終わりたいと思った。
2-3.切腹をすることで初めて得ることの出来る居場所があることに気付いた。
○助けようとした人々
・近藤さんと土方さん(見逃すことを前提にするため、沖田くんを追っ手として選ぶ)
・斎藤さん(助けるつもりだったかはともかく、武田さんに追っ手として指名されたときに暗に「俺でいいのか?」と近藤さんの様子を窺っている)
・沖田くん(このまま逃げてくれと頼む)
・再度、近藤さん(障子を開ける)
・松原さん河合さん尾関さん(近藤さん土方さんに助命を頼み込む)
・八木さんご夫妻(土方さんに直談判)
・永倉さんと原田さん(島田さんを追いやって、障子を開ける)
・土方さん(永倉さんと原田さんの思惑に気付き、見張りを離れた島田さんを引き止める)
・源さん(島田さんを追いやって、食事と握り飯を持参の上、障子を開ける)
見返していないので抜けているかもですが、思い出せるだけでもこれだけの助けようという動きがありました。はっきり言って全員が何らかの形で助けようとしていると言っていいです。沖田君が最初のときに言いましたが、まさに「誰もそんなこと望んじゃいない」上に、状況的には「どうとでも逃げられた」のです。もしもここで誰かの助けに従って山南さんが逃げたとして、この状況で誰が追ったというんだ。一度、目前に仲間の死を見てしまった彼らは絶対に追うことはできなかったと思う。
○では、なぜこれほど誰もが死んで欲しくないと願っていたのに、逃げなかったのか?たった一人意志を貫いた彼にとってこの切腹という道は、なんだったのか?
1.これが自分の運命と思い決めていた。
2.新選組の一員として人生をまっとうしたいと思った。
2-1.新選組の一員でいるためには逃げるわけにはいかない。逃げられない以上は切腹をするしかないと考えた。
2-2.総長(あるいは武士)である自分の居場所としての切腹だった。「総長(あるいは武士)としての自分」のための切腹という意味。ある意味プライドのため。
2-3.過去一度は拒絶した、土方さんの主張である厳罰主義を受け入れ、今後の彼を助けるために自らの身を以って実践してみせるため。
3.そもそも、切腹を望んでいた。
3-1.自殺願望だった。
3-2.切腹をすることによって、新選組のなかで自分の存在が大きくなるという誘惑があった…。
3-3.……書いていて泣けてきそうになるほどつらい。けど、書く。誰も望まない切腹、誰もが大きな心の傷を負うことになる切腹。特に土方さんの心の傷は苛烈なものになるだろうし、結果、彼のなかで山南さんの存在は強烈に残る。それを無意識に望んだ。
これは私がありそうだと思いつく限りの仮定を片っ端から並べていますので、違うと思っているものも書いてあるんですが。私の見方としては…
1は気持ちの一部として、あったと思う。
2-1は違うと断定したいです。2-2も確信に近く、違うと思っている(2-2なら、3の方が近いだろう)。2-3は山南さんという人の気質には合っているし、山南さん自身の意識の上では、これは正解の一つだったのではないかと思う。永倉さん原田さん、河合さんなど残される隊士たちにあとのことを頼んでいることから見てもね。
ただ、2-3の場合はそもそも「なぜ土方さんの厳罰主義を受け入れたのか?」という疑問が生じます。葛山さんの死でいったん拒絶したあと山南さんがそれを受け入れるような展開は特にないですし…。可能性の一つとしては沖田くんが来たときに近藤さん土方さんの気持ちを理解して、それゆえに「土方さんのために」という理由だけで(つまり、土方さんに対する情ゆえにということですね)、土方さんの主義を後押しする切腹を決めた…というのもありえなくはないですが…やっぱりちょっとね。切腹を決断する唯一の動機としてはやや弱いですよね…。なので、私は2-3は、この目的も含んでいたのは間違いないけれど(自分でそう口にしてますし)、後付けなのではないかと思えるんです。
3-1はあると思う。山南さんは自分に嫌気が差して疲れていました。「居場所がなくなった」と言っていたけれど、本当は居場所はもちろんありました(助けようとする人たちの数を見てくれ…(涙))。ただ、彼自身が彼自身を認めることができなくなってしまったんです。そういう彼の心理状況を思えば、自分を消してしまいたいという欲求が生まれてしまってももちろんおかしくないですよね…(涙)。
3-2も…つらいけれど、ずっと居場所を求め続けていた彼なので、無意識下にはそういう気持ちがあってもおかしくはないかも…と思っています。
そして、もっともつらい仮定である3-3。これは正直言って、山南さんという人の気質からして、本当に考えるだけでつらいです。しかし、やはり考えれば考えるほどに、あの切腹という選択は誰もが望まないどころか、誰もが大きな心の傷を負うだけの選択なんですよ。それによって得るものは、土方さんの厳罰主義が全うされたという結論だけで、この場合は、その事実こそが、最も激しく土方さんを傷つけます。
そして、それが山南さんにはわからなかっただろうか?と。
もちろん意識のうえではそんなことは思ってるはずがないです。そんな人ではないので。でも、無意識下になかっただろうか…という仮定はどうしても私の中に生まれてきます…(涙)。それほどに、山南さんを助けるための動きと、山南さんのあの迷いのなさのコントラストが激しかった。私が最初にあの回を見てあんなに混乱した理由は、おそらく言葉にはならずとも、あれほどみんなが助けようとしているのに、あれほど全て拒絶し続けた山南さんの姿に、3-2、ひいては3-3の可能性まで見てしまっていたからだと思う…(涙)。
…そして、そんな山南さんにどうしても言いたくなるわけですよ。
山南さん、貴方はわがままだ…!!(号泣)
○この「新選組!」における切腹の意味はなんなのか?
これは山南さん自身には直接かかわりのないことですが…私がこの話を見る上でどうしても考えてしまう(そして混乱する…というか「三谷さん、鬼…!(涙)」と叫んでしまう)問題なので…。
私が今想定している山南さん自身の心理というのは、主に2-3、3-2、3-3です。でも、3-2と3-3に関しては、あくまで山南さんの深層心理であって、こういう心理も暗に裏にあるのではないか…という仮定にすぎない。何度も書いてますが、山南さん自身が意識していたとは思えないですし。なので、この物語的には2-3が本道のはずです(だから、山南さんの、土方さんに対するあの台詞があるのでしょう)。
でもね、山南さんが、土方さんの厳罰主義を肯定して、自らの命をその礎にした結果ってどうなんですか?私は新選組の今後について詳しくないけれど、この山南さんの死によって、土方さんは厳罰主義をまっとうしないわけにはいかなくなる。山南さんですら、死ななくてはならなかった、だとしたら他の隊士が許されるわけがない。温情は一切許されなくなります。もちろん土方さんは最初からそういう主義だったわけだけど(沖田くんでも近藤さんでも、法度に背いたら切腹だとは言ってますからね)、それでも現に土方さんですら山南さんのことは助けたかったし、暗に逃がすことを考えてしまっています。現実にどうだったかということです。しかし、山南さんは土方さんの主義のために死んでしまった。だとしたら、土方さんは山南さんの死を無駄にしないために、この主義を曲げることは絶対に許されなくなってしまった。それは山南さんの死によって決まってしまったことなんですよね…。このあまりにも悲劇的な流れってどうなんですか…(涙)。
さらに、山南さんが言い置いていく言葉の数々…。新見さんが山南さんに言い置いていったあの呪いの言葉。新見さんは完全に呪ってましたが、もちろん今回言い置く山南さんはそんな気持ちはかけらもない。しかし、山南さんの気持ちによって浄化されているけれども、呪いはそのものは引き継がれているわけで…(涙)。それにあれですよね、上に書いた土方さんのことだって、まぁ、言われなくたって土方さんは山南さんが死んでしまった以上同じことになったに決まっているんですが、山南さんはわざわざ土方さんに「悔やむことはない。君は正しかった」と言っていくんです。ずっと山南さんに共犯でいて欲しかった土方さん、最後の最後で自らの命を以って共犯になってくれた山南さん…(それは土方さんにとってはむしろ痛恨の、絶対にやって欲しくなかった方法だったわけだけれど…)。あれは、土方さんが、二人で選び取ったあの道から二度と逃れることができないと確定した言葉です…。ある意味、これも呪いですよね…(涙)。
なんなんですか、この構図…(涙)。この構図を引いた神(=三谷さん)は鬼だー!と思っちゃいません?どう受け止めればいいんですか?
さらにですよ?あくまで私の仮定にすぎませんけど、3-2、あるいは3-3という心理が山南さんのなかに潜んでいたとしたら………
もっと、どう思えばいいんですか、この構図??
もはや、あまりの苦しさ悲しさにもう身悶えるしかないじゃんかー!!(号泣)
なんかもう、どこをどう思えばいいのかどう受け止めればいいのかわかんないですよ、こんなの。本当、なんて話を作るんですか、三谷さん……!!(号泣)
とゆーのが、私がこの回によって強烈にショックを受けた原因でした。最初はこれを感覚的に察知して混乱を来たして、一週間ぐらいかけてぐるぐる私が混乱している原因を考えまくってました。その結果がこのエントリーです。
……でも。
当時堺さんが「一人の男の死、それ以上でもそれ以下でもない」ということを言ってたというのをどこかで見て…
ようやく、最初に見たときに感じてしまった上記のようなグダグダを全部取っ払って、
ただ、山南さんの死、山南さんという愛すべき人が失われたということ、
それだけを思って泣くことができました。
山南さん、お疲れ様でした……。